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【熱いったら暑い。】
ボンゴ/ブローニイ乗りが口を揃えて言うことといえば、 |
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【なぜそんなに暑いのか。】
そもそもなんでそんなに熱くなるのか。そこからマズ考えます。
左は管理人のR2ブロのエンジンルーム(助手席側から)の写真ですが、ヘタなスポーツカー顔負けで高密度実装がされているのがわかります。 また、フツー、ボンネットを持つ構造の自動車であれば、ラジエターに当たった風は後方へ抜け、それなりにエンジン自体をも冷やしつつ、ボンネット後端のスリット等から抜けていきます。 ところがキャブオーバーであるブロの宿命、ラジエタに風が当たるのはともかく、その後エンジンへ風が抜けていかないのです。 かつ、その真上に人間様が乗っているんですから…。 グラスウールを2cmかそこら張ったところで、なんの解決にもなりませんな。 サイドブレーキの後ろのところのパネルなんか、冗談抜きに「触れないくらい」の温度になります。 というワケで、ついた異名が「自動床暖房装置付」と。冗談じゃない。 |
【じゃ実際、どれくらい暑いのか。】
では実際、どれくらい暑いのかを計測してみます。計測ポイントは、上の写真の燃料フィルタのちょい後ろ、白い丸で囲ってある辺りに温度センサーを設置、それを室内まで引き込んで計測とします。
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ちなみに、走行中に計測ポイントの気温は結構変動します。 まず、エンジン始動で一気に外気温プラス10℃、そのまま走っていくとだんだん熱がこもってきます。 で、60〜70km/h巡航で30分ほど走ると、温度は平衡点に達し、左のようになります。このまま巡航していてもこれ以上は上がらないようです。 …69.8℃です。外気温プラス45℃という所ですね。 なお、信号待ち等で停車すれば、これがあっという間に80℃弱まで上昇します。 そうすると、発進時にラジエタファンが始動するので、発進後、3速に入るまでの10秒くらいで55℃程度まで下降します。 そのまま5速に入る頃にはやっぱり69度前後となります。これが次に停止するまでの平衡温度です。 というわけで、外気温プラス40〜45℃、っていう辺りが管理人の計測による巡航時のエンジンルーム温度です。 |
ついでに調べてみれば、暖房機メーカーが推奨している、床暖房用循環水の温度はどうやら60〜70℃あたりが主流のようです。
してみると、あながち「自動床暖房装置付」はハズレとも言い難い…。 冗談じゃないってば。
【まず、「引き抜き」を考える。】
さて、実際床暖房が稼動しているということが判明しましたので、これをキャンセルする方法を考えなくてはなりません。
まずは、「熱がこもっている」という状況を打破するために、「熱を引き抜く」という方面からアプローチします。
ブロのエンジンルームに入った風はどこからぬけてくるかと言うと、ココです。
フェンダー後ろのこのエラみたい穴。運転席側にもありますが、ここの穴から排熱されるのです。 じゃあ、その空気の流れはどうやって作られてるのよ? と考えてみれば、ラジエタファンが回っている時はともかく、止まってる時は何ら能動的な方法は無いわけで、「自然通気」に頼るという設計のようです。 ただ、自然通気ったって、ファンが止まってしまえば前から空気が押し込まれるワケでもないですから、ほとんど期待できません。 というワケで、まず、ここから「余熱を引き抜いてやろう」というコンセプトで施工します。 |
【引き抜くってどういうことよ?】
とはいえ目論見自体は非常に簡単なことで、ココにいわゆる「NACAダクト」のような物を作って、負圧を利用して中の空気を引き出してやれば良いワケです。
もちろん、カーショップに行けばアフターパーツとしてそのものズバリのNACAダクトも市販されていますが、これらはほとんどが「吸気」の為に、言い換えれば「空気を押し込む」ための道具として設計されています。
今回管理人が要望するのは「空気を引き抜く」ための道具ですので、開口部が後ろ向きになっていて、負圧を発生させてくれないと困るのです。
左図のような、こんなカンジですね。 ・水色は外気の流れ、 ・緑色の部分は外気の流れが(厳密には渦を巻く)によって発生する負圧部分、 ・赤色はそれに引っ張られて車内から排出される熱風、 っていう見当です。 |
ということは、上述のとおりNACAダクトのようなものは使えませんから、何かを作る必要があります。
【困った時の「100円ショップ ダイソー」なり】
なんつーか、チリトリの小さいのを裏返して貼っ付けるようなモノになると思われますが、そんなものイチイチ板金して作るのもメンドクサイし、なんたって未だ考証実験の段階ですから、そんな大袈裟に構えたってしかたありません。というわけで、「ま、絶対何か置いてるだろ」と「100円ショップダイソー」へ赴きます。
探すことしばし。約5分さまよう。無いかな…?
…あったよ、ドンピシャ。
というわけで今回のターゲットはこちら。 「素材発信 ザ・プラスチック コーヒードリッパー 4人用」 ですな。 …「素材」なの? |
→ | これを… 2枚におろします。 ちなみに管理人はコーヒーを飲む習慣が 殆どないので惜しげもなく切断。 |
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そんでもって、余計なところ、 すなわち、「カップに載せるための部分」を 切り取ってしまうと… ほぼ注文通りのモノが出来上がります。 |
→ | それをテキトーにガムテで貼り付けます。 これは左側。 アルミテープを使っているので 写真ではちょっとわかりにくいか。 |
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こちらは右側。 いや、ちょっと待てよ、これ、カッコいいって。 |
→ | 右側を前から。 …全然カッコ良くないな。 |
というわけで作業終了です。
【効果のほどは。】
そんでもって、効果のほどはいかがなものかと実際に走らせてみるわけです。
まず、特に右側は給油口のすぐ下につくワケです。
給油に行くと、ガソリンスタンドのお兄ちゃんが「???」って顔をして見ています。
「なんだコレ? 何? コーヒードリッパー?? 何か意味はあるんだよな、きっと。でもまさか客のクルマつかまえて「コレなんですか?」とは訊けんしなぁ…」と。
その顔を見ているのが楽しいですなぁ。
えー、本題。
上述の温度測定方法で行けば、これは驚いたことに1℃から2℃の「上昇」が見られます。下がらないのです。
ただし、サイドブレーキレバーの温度が「触っているのがイヤになる」ほどの温度にはならなくなりました。
センサー温度は上昇しているのですが、サイドブレーキ温度は下がっているのです。
これはどういうことかと考えてみますと、やはりこのダクトがちゃんと排気をしているのではないかと。
このダクトは両バッテリールームのところに開いていますから、これが働くということは、エンジンルーム後端から吸い出すわけです。
というコトは、今まで動いていなかったエンジンルーム内の空気が動き始めた、つまり、エンジンを舐めた(ことで熱くなった)空気がセンサー部を通過し、ダクトから排出されているのではないかと。
だから、サイドは冷えるし、センサーは高めの数値を示すようになる、と。
実際、停車直後に触ってみると、特に左ダクト後方はボディが熱を持っています。
ダクトから排出された熱風がボディを舐めているのでしょう。
ところが右ダクトはほとんど熱を持ちません。エンジン右側はヘッドとエンジンルーム天井の隙間が少ないですから、空気が流れていかないのでしょう。
【引き続き策を練る】
さて、上記の「ドリッパーダクト」は効果がないワケではありませんが、正直、期待していたほどの効果が得られなかったのも事実です。
というワケで、今度は「冷気(といっても普通の外気)を積極的にエンジンルームへ導入する」方向でのアプローチを考えます。
…なんだか長くなってきましたので、珍しく2ページ目へ突入。
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