通ったんだよ、ちゃぁんと。>車検

さて、多くの方が、「おめーのクルマ、ホントに車検通るのかよ」とか思ってるんだろーなと拝察しますんで、そのお話を少々釈明しておきましょうか。
そのような期待をしている方々には悪いケド、若干の対策をして、ちゃーんと車検に通ってるのだ。うひひ。
しかも、そこらのインチキ闇車検じゃなく、レッキとしたデーラー(ただし、諸般の都合によりマツダではなくトヨタ)車検だぞ。

トヨタの名誉のために断わっておくケド、別にトヨタがインチキな車検をしているというのではないぞ。ここまでヤッても車検が通るようになったのは、主に例の「7年度改正」のお陰なのだ。現に、法規改正前は、トヨタにフォグを後付けした車を車検に出したところ、「フォグが最前端から1センチほど出てますので、車検通過できません」と断わられたことがあるし。

今回の車検、及び前回の車検(HPを立ち上げる前だ)の時に改造してあった点は、以下のようなこと。

改造箇所 結果 コメント
タイヤ/ホイール
(インチアップ)
× 1本6000円の激妖ホイルなれど、良く見たら、ナゼかJWL-Tって書いてあるし、実測したらスピードメータ誤差もOK。
が、よーく見るとフロントがボディより若干出てるような気がする上に、GRID-IIではリアが耐荷重の問題をクリアできないと判断。
もう、最初っからあきらめて、ノーマルに戻して出したのさ。
……ハミ出しはともかく、「最大積載量300kg」くらいの表示にしたら、対荷重はもしかしてOK? どーせ荷物載せないし。
でも総重量が下がるから、特定地域で乗れなくなっちゃうか。
メーター交換 誤差、プラス1km/hで、問題なく通過。
バンパー延長 バンパーは運輸省の指定部品ですんで、交換は問題なし。
さらに、今回は当然ながら継続審査ですんで、全長が4700mm超になっても4ナンバーのままでOK。
車検時、デーラーに「実はバンパー交換したんだけど……」と正直に申告した上で、無事通過。
補助灯追加 延長したバンバーに乗っけてあり、しかもそのバンパーよりも前にハミ出して付けたんだケド、補助灯も運輸省の指定部品ですんでまったくもって問題ナシ。
但し、取り付け位置や光軸は保安基準に適合するよう考えるべし。
これもデーラーに正直に申告した上で、無事通過。
シート交換 ワゴンとシート交換。まったくもって問題ナシ。4ナンバーはシートに関する規定がうるさくない。
保安基準には、「運転に支障が無く、確実に装着されていること(要旨)」とあるだけ。さて、次はバケットか?
(5/3ナンバーだと、「座面寸法が縦横400mm以上あり、運転者がシートに座り運転に必要な視野を確保でき、運転操作を妨げず乗車人員を保護できるものであること。衝突の際に乗員から受ける荷重に耐え、シートバックは衝突時後部座席乗員の保護のため衝撃を吸収できる構造であり、運転席、助手席にはヘッドレストを設ける」など、実にコウルサイ規定があるのじゃ。4ナンバー万歳。)
ヒューマンデバイス
交換
つまり、ステアリングホイールとシフトノブのことです(^^; 。
ステアをファミリアGTのもの、シフトをドマーニのものに交換してるケド、当然ホーンマークやシフトパターンが入ってるので、問題なし。
室内突起 前席天井に、各種機器設置用の「棚」を作ってます。昔のホンダの「コックピット・スタイル」をパクったカンジ。しかもフレーム剥き出しで、パッディング等は一切ナシ。
室内突起(頭部保護)でペケになるかな? と思ったけど、「サンバイザーより上にあるので、まぁ、いいでしょう」とのお言葉で通過。よーし。
窓フィルム × 運転席に、(恒久的に貼るのではなく)リムーバブルのフィルムを貼ったのね。
見るなり「あぁ、こりゃダメです」って言われたんで、「これ、リムーバブルなんですけどぉ……」と粘ったのだ。
ケド、「なら、検査時は外しといてください」とのお答え。まぁ、そりゃ正論ですわな。
ちなみに窓フィルムは運輸省の指定部品なので装着すること自体は問題ないのですが、保安基準の方に、「運転席と助手席は可視光透過率が75%以上で無いとダメ」ってかいてありますので、ダメなんです。


秘密のキーワード、「運輸省の指定部品」とはっ?

さて、上の3箇所に、「運輸省の指定部品」というフレーズが出てきました。「んなもん知らないよっ」ってヒトも、これは知っておいて損は無いですよ。よく読んでおきましょう。

そもそも、日本の自動車行政は非常に画一的で、部品ひとつ取っ替えるんでも、やれ構造変更がどうのとか、非常に面倒な手続きを要求していました。ところが、「だからウチのパーツが日本で売れないんだよっ!」って言い出した某国のアフターパーツ屋さん(どうやらショック屋さんだったらしい)がありまして、それにビビった運輸省が1995年に通達を出し、構造変更に関する規制を大幅に緩めました。(これも外圧っていうのかしら?)

で、まず、「運輸省の指定部品」とは何か。これに指定されていると、ヒジョーに取り付けがラク(法律的にね)になるんですよ。
で、指定されているものは何か、以下の表をご覧下さいませ。分類なんてどーでもよいので、何が指定部品になってるか、だけ見ればOKだよ。





















空気流を調整等するための部品 エアスポイラー、エアダム、フードウインドデフレクター、フードスクープ、ルーバー、フェンダースカート、ピックアップトラックランニングシート、その他エアロパーツ類
手荷物等を運搬するための部品 ルーフラック、エンクローズドラゲージキャリア、バイク/スキーラック、その他ラック類
その他の部品 サンルーフ、コンバーチブルトップ、キャンパーシェル、窓フィルム(コーティング含む)、キャンピングカー用日除け。
ロールバー、バンパーガード、フェンダーカバー、その他カバー類。
ヘッドライト/フォグライトカバー、その他灯火器カバー類。
グリルガード、バンパー/プッシュバー、ドア等プロテクター、アンダーガード、その他ガード類。
ラダー、サンバイザー、ルーフトップバイザー、その他バイザー類。
ウインチ、けん引フック、トウバー、ロープフック。
水/泥はね避け、アンテナ、トラックベッドライナー。
グラフィックパッケージ/テープストリップキット、ボディーサイドモールディング、デフレクター/スクリーン(グリル)。
コーナーポール。コーナー等のセンサー、後方監視用カメラ、車間距離警報装置。
原動機、排気系統関係の部品 リモコンエンジンスターター、エキゾーストパイプチップ/エクステンション。
車室内に設置する部品 空気清浄器、エアコンディショナー、ナビゲーション、無線機、自動車電話、オーディオ、その他音響機器、盗難警報システム、エアバッグ。
その他 ナンバー取り付けステー、任意灯火類。
















操縦装置関係の部品 タイヤ、ホイール
走行装置関係の部品 ステアリングホイール、パワーステアリング、変速レバー、シフトノブ。
身体障害者用操作装置の部品((1)ステアリングホイールへの旋回の部の取り付け。(2)アクセル、クラッチ、ブレーキ等への手動操作部品の取り付け。(3)方向指示器レバーの移設または足踏み方式部品の取り付け。(4)足踏み式駐車ブレーキへの手押レバーの取り付け。(5)ペダル類にペダルを延長するための部品の取り付け。(6)助手席への補助ブレーキペダルの一時的な取り付け。(7)アクセルペダルまたはブレーキペダルの移設または増設取り付け。)
緩衝装置関係の部品 コイルスプリング、ショックアブソーバ、ストラット、ストラットタワーバー、
連結装置関係の部品 トレーラーヒッチ、ボールカプラー。
騒音防止装置関連の部品 マフラー、排気管。
その他の部品 規定灯火類、ミラー。
(表は『'99フォーバイフォーカスタムブック』(1998/12/20 フォーバイフォーマガジン社)より引用)

(さて、全部見ましたか? 「けっ、俺の付けたいパーツ、指定部品になってねーや。ダメかぁ」というヒト、まぁ、あきらめずにチト続きを読んでくだされ)

さて、実際にこのパーツを装着するのに、何らかの方法でクルマに固定しなきゃなりませんね。この方法も、この通達で3つの方法に分けられています。これは覚えてしまいましょう。

1.簡易な取付方法 手で(つまり工具を使わずに)簡易に着脱できるような取り付け方法です。
例えば、蝶ネジとか、バンドとか。
2.固定的取付方法 順序が前後しますが、上の「簡易取付」と下の「恒久取付」以外の取付方法です。
手では着脱できないけど、2度と取れないワケでもない、つまり、ボルト/ナット止め、粘着テープ止め、接着剤による固定などをいいます。
(接着は恒久的取付のような気がするんだけどなぁ、なんで固定的取付に分類されてるのかなぁ)
3.恒久的取付方法 溶接またはリベットで取り付けることをいいます。
すなわち、一度つけたら2度と剥がせない、ってコトですな。
まだ続くぞ。さて、パーツをつけることで、車両重量、寸法などが変わってきますね。その変化も規定されています。下の表がその範囲です。とりあえず目を通すべし。通常、この範囲を「一定範囲」ということが多いようですな。
  長さ 高さ 車両重量
軽・小型自動車(4/5ナンバー) ±3cm ±2cm ±4cm ±50kg
普通自動車(1/3ナンバー)・大型特殊 同上 同上 同上 ±100kg

さて、やっと結論だぞ。結局、構造変更を出さなくてよいかどうかは、行う改造が、「指定部品」かどうか、「固定方法」は何か、外寸変化が「一定範囲」に収まっているかどうか、の3点がカラんで決まってくるのです。その表を以下に書いておきましょうかね。

付ける部品は?
取付方法は?
寸法・車両重量変化は
一定範囲に収まってる?
うん いや
指定部品だよ 簡易だよ
固定的にするよ
恒久的だぞ ×
指定外だよ 簡易だよ
固定的にするよ ×
恒久的だぞ ×

さて、上の表を見て、自分のやりたいコトがどれに該当するかわかったかな?

」だったヒト:
ラッキーです。構造変更申請ナシで、そのパーツ付けちゃって構いません。
ただし、保安基準に適合するように組んでくださいね。

……なに、構造変更と保安基準の関連がイマイチわからん? じゃ、極端な例を出して説明しましょうか。
     
例えば、タイヤ・ホイルは指定部品ですね。これらは通常、固定的取付(ボルト/ナット)で装着されますね。ということは、上の表をみると、「一定範囲」を超えても「」となってますね。
ということは、全幅がノーマルよりいくら増えてもいいんだな、バカみたいなワイドタイヤ履いてもOKなんだな、と思うでしょうが……、ところが。
保安基準には、(クルマを横から見たとして、タイヤの)車軸の真上部分から前30°〜後70°の部分をフェンダーが覆ってないとダメ、という規定があります。よって、タイヤ全体がフェンダーからはみ出るようなワイドタイヤは、結局装着不可、となるワケです。これが、指定部品でOKだけども保安基準でボツになる例です。

……じゃあ、オバフェンつけて囲えばいいんだろって? わはは、オバフェンは指定部品でないから、簡易取付以外は一定範囲を超えちゃイカンのよ。まぁ、逆に言って、片側1センチ(両側で2センチ)までのオバフェンなら、一定範囲内ということで固定的取付もOK、つまるところ、ノーマルから片側1センチのハミ出しタイヤはOKってコトになるんだけどね。

「×」だったヒト:
残念でした。それは構造変更という難関を乗り越えなければなりません。ただ、構造変更となるとシロートの手におえるものじゃないんで、信頼できるショップか、陸運に相談することをおすすめしますぞ。

ま、逆に言うとですね、「×」のところ以外は、「構造等変更検査」を受けなくてもよくなったってコトです。
何が起きるかというと、たとえば、「ターボチャージャー」って部品がありますね。これは非指定部品です。が、一定範囲内(ターボ付けたって車寸は変わらないだろうから、4ナンバーなら重量50キロ増)に収まってれば、ポン付けターボは申請ナシでOKってコトですよ。(但し、排ガス規制をクリアする必要がありますが)
さらにいうと、車検証上のエンジン形式ってのは、たとえば「VG20」だろうが「VG20DET」だろうが、「VG20」としか書いてませんから、車検証のエンジン形式が変わらない以上、例えばVG20←→VG20DETとか、4A-G←→4AG-Zとかのスワップも問題なし、ってコトになります。もちろん、ハイカムとか、ハイコンプとかも一切問題なし。ただし、排ガス濃度とかをクリアしてなくちゃなりませんがね。
以前はハイカムに変えるだけで、出力増加→動力伝達系の強度見直し→クラッチ、ミッション、プロペラシャフト、デフ等すべての強度計算が必要、ってな事態だったんですから、こりゃ大きな進歩ですぜ。そのぶんユーザーサイドに責任は重くなってきますがね。


ちなみに、「構造変更」しないってコトは、実際改造をしたのに、車検証上の記載事項には一切変更が起こらないってコトです。これが何を意味するかというと、たとえば、もともと全長4690mmで4ナンバーだったクルマのバンパーを長いものと取っ換えて、実寸が4800mmくらいになったとします。でも、車検証上は、4690mmのままで良い、っつーか、そのままにしかならない、ということになります。
そこで何が起こるかというと、フツー、4700mm超のクルマは1ナンバーとなり、税金がガバっとお高くなるハズなんだけど、車検証が4690mmな以上は、実寸がどうであろうとレッキとした4ナンバーだし、もちろん税額も4ナンバーのままだ、ってことが発生するのです。
(……フェリーなんかに積む場合の運賃はどうなるんだろ? うーむ)


注意事項1(免責事項):
以上の情報は、mazda.bongo.ne.jpが各種資料をもとに独自に調査・統合した情報です。十分に誠意を持って編集するにはしたつもりだけども、もしかすると不備な点が残っているかもしれません。っつーか、きっとあるんじゃないだろうか。というワケで、以上の情報を基に各自が改造等を行う場合、事前に管轄機関に十分に確認の上で行うようにしてください。万一記述内容に誤りがあった場合でも、当サイトはその責を負いかねます。your own riskで…というヤツだよ。

注意事項2(よいこのおやくそく):
その車を車検に合格させるか否か、という判断は、最終的に検査官の判断によるんだってさ。同時に、実に奇っ怪なことながら、各地方の陸運間でもその解釈は分かれるようですな。特に、保安基準によく使われる「十分な○○」とか「堅牢な構造」という表現はモロにそこにかかってきます。よって、「mazda.bongo.ne.jpには俺と同じ仕様の車で車検通ったって書いてあったぞっ。なのになんで俺の車だけ車検パスしないんだよっ!」ってな苦情を陸運やトヨタデーラーに持ち込むような恥ずかしいことはしないこと。その場合は、素直にきちんと指摘を受けたところを改善して望むか、きちんと理論立てて反論すること。これお約束。

参考文献:
本ページを記述するに当たって、
・『自動車工学 (96年4月号)』 1996年4月1日発行 株式会社鉄道日本社
・『'99フォーバイフォーカスタムブック』 1998年12月20日発行 株式会社フォーバイフォーマガジン社
・『バニング&トラッキン 1996・No.91』 1996年3月1日発行 株式会社日本ジャーナル出版
を、メ一杯参考にしましたよん。

おまけ:
ちなみに、95年の規制緩和当時にこの構造変更に関する問い合わせ窓口となっていたのは、運輸省管轄の
・「運輸省自動車交通局技術安全部技術企画課検査施設係」(長いっっっ!)
という部署です。参考文献の96年『自動車工学』誌には電話番号も掲載されていましたが、5年も前のことなので、係そのものが消滅している可能性を考慮して、ここに電話番号は掲載しません。どうしても、ってヒトは、電話番号案内にでも聞いてみるか、メールをいただければ個人的に教えてあげますよん。

その2 改造等について

「2000年車検」のトップへ戻る サイトのトップに戻る

(c) Copyright by mazda.bongo.ne.jp 2000
mailto:
brawny@h2.dion.ne.jp
Thanks for visiting !